建築士ほど心持ちのいい商売はないはずなのである。
なぜって、弁護士は、揉め事のどちらか一方に加担して、
その揉め事を法律に基づいて解決していく。
揉め事がないと商売上がったりだし、どちらか一方に加担するということは、
いくらもう一方が悪者だとしても、100%悪いということはほとんどない。
建築士は、個人や会社や公共が、それぞれの幸せを願って、
大規模な投資を行うときのお手伝いをすることが業務。
まともに行けば、
「投資した方も、請負った建設会社も、又その建物を利用するみんなが幸せを享受するハズ」
人に一片の恨みを買うこともない、心持ちのいい商売のハズ。
でも、この建設業界には揉め事が多い。
「クレーム産業」などという言われ方もされたりする。
その大きな一因は、
動く金額の大きさが何かを狂わせて行ってしまうような気がする。
2000万円の家を買う場合、
2万円の服を買うのに考える時間の1000倍の時間をかけて、家のことを考えるなら、
揉め事はずっとへると思う。
でもたいがい、そんな時間はかけられない。
誰かを「信頼」して、お金を「預ける」ような行為がどうしても生じてしまう。
金額が大きいだけに、その「信頼」を悪用したり、
ちょっとごまかしたりする人があとを立たないのだと思う。
それと、「まだ見ぬモノを作る」ということの、コンセンサスの取り方が、難しいんだなー。
国立競技場問題なんかは、それの典型のような気がずるし、
自分の日常の仕事まで引いてきても、ちゃんと説明したつもりだったのに、
「お客様の常識」と「建築プロの私の常識」みたいのが、かみ合わなかったりして、
細かい祖語は、いくつもできてきてしまう。
謙虚であらねばならぬ、とはいつも思うのである。
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