舞良戸の裏側はかなり劣化してた杉板の上からベニヤを張り、そして、襖紙を地元の安本表具屋さんに張って頂いた。この襖絵は40年前、自宅離れを新築した際、絵画教室でご指導いただいた、鈴木靖将さんにお願いした思い出深いもの。それをこちらに張り替えた。だから引手のところが丸い穴になって補修されてる。安本さん「前の襖も多分父親の手やと思います。ベニヤのアクが出るとアカンので下張りしてから張りました。傷付いてたところは裏張りで補強しときました。引手の部分は四角く上から張ってしまうのありなんですが、それだと絵が隠れてしまうので、出来るだけ合う色の紙を探して補修することにしました。変えんとそのままの残す方がええかなー、と。」あー、そういうと文化財の補修でも、基本出来るだけそのまま残すっていうのが原則、表具屋さんも、掛け軸の直しやらもそういう考え方でするんやろうなー。
大津の設計事務所にいた頃「スケッチもまともに書けんのか、知ってる先生がいるさかい、そこの日曜絵画教室行って来い」と上司に言われて、鈴木さんのスケッチ教室に1年くらい通った。その縁で無理をお願いしたら、快く受けて下さった。現場で一日でさらさらと書き上げられた、琵琶湖畔の雑草の風景。書き始めると一気呵成という感じやった気がする。当時、父親がいくらか包んでお渡ししようとしたのだが、「新築祝いや。」と固辞され、結局お酒二升で帰ったしまわれた。何だか申し訳なかった記憶が残っている。
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